貸金業者の開示義務

債務者自身が業者に自分の取引履歴の開示を求めることは可能です。 平成 17 年 7 月 19 日の最高裁判決は、「貸金業者は債務者から取引履歴の開 示を求められた場合には、特段の理由がない限り、貸金の契約に付随する義務 として、取引履歴を開示しなければならない。そして、取引履歴の開示を拒絶 したときは不法行為となる。」と示しています。この判決を踏まえて、金融庁 は取引履歴の開示請求者について、取引関係が過去にあった場合や現在取引中 の場合には、業者が行う本人確認の方法を負担が少ないもの(例えば業者との 取引を証明する契約書や受取証、業者からの通知書などの書類提示など)に止 めることと指導しています。

したがって、債務者から開示の請求があった場合には、業者はこの判例が示 した開示義務により対応することになります。開示すべき取引履歴は、業者が 既に消去などして現実に存在しないデータを除き、保存しているデータの全て (法定保存期間を経過しているものを含む)に及びます。