特定調停は不利か

特定調停は、弁護士・認定司法書士を依頼せずに債務者自身で申立て手続き をすることができるのですが、弁護士・認定司法書士に依頼した場合の任意整 理より、債務総額は多くなってしまう可能性があります。

任意整理においては、弁護士会の統一基準 に従って債務弁済の和解をすることになり、利息制限法の制限利率による引き 直し計算後の残元本額のみを債務額として返済します。 特定調停においては、統一基準がないため、裁判所や調停委員によって調停 内容が異なる場合があります。例えば、債権者から請求されていた債務額から みると、利息制限法の制限利率で引き直し計算したことによる債務額の減少は あるものの、特定調停で確定した債務額は破産や個人再生の場合のような大幅 な債務額のカットは見込めません。調停成立時までの利息を付加して支払うこ とになったり、さらには、弁済を完了するまでの将来利息を付加することになっ たりする場合もあるのです。

引き直し計算の結果、過払金の発生が見込まれる場合には、特定調停では債 務不存在調停として扱われることになりますので、過払金の返還を債権者に求 める場合は、別途、取り立てをしなければなりません。債務者と債権者との話し合いがつけば調停調書が作成され、合意した内容は 判決と同じ効力をもつことになりますので、債務者が合意内容に従って返済を 行わない場合には、債権者から強制執行を受けることもあります。