特定調停の不成立

特定調停が成立することは、債権者にとっても、①個人再生手続きや破産手 続きをとった場合と比較して債権回収の可能性が大きいこと、②調停成立によ り判決と同様、強制執行力を持つ債務名義が得られること、 ③過払金が発生し た場合に債務者の同意があれば債務不存在として解決できることなどのメリッ トがあります。

しかし、債権者にとって大きな不利益が予想される場合に「債権債務なし」 での合意を執拗に迫ったり、また借りて一回も返済がない者の申立てなどには 利息や遅延損害金の取扱いを強硬に迫ったりするなどして、なかなか債権者と 合意に至らないことがあります。債権者が調停に応じなかったり、裁判所へ来 なかったりすると、その調停は不成立となります。 特定調停が成立する見込みがない場合でも、裁判所によってはいわゆる 17 条決定(民事調停法 17 条)、つまり、裁判官が特定調停が成立したのと同様の 決定を出すことにより、解決させることが多いようです。この場合、将来利息 をつけない分割弁済計画で債務者の経済的な再生が図られることになります。 なお、任意整理、個人再生、自己破産、弁護士・認定司法書士についてはそ れぞれの章を参照してください。